私立アキハバラ学園
転校を機にオタクを卒業しようとする主人公、冬馬壮一郎。
しかし、義理の妹の琴未の策略により、アキハバラにある私立アキハバラ学園に転校する事になる。
そこは主人公よりさらに濃い様々なオタクが集まる学園だった。
校内ではメイドが案内してくれ、学園長は等身大フィギアを抱いている。
そして主人公は美少女ゲームシナリオコースに編入が決まってしまう。
同じく転校してきた麻里子はオタク嫌いのふつうの女の子で、
何かと主人公に絡んでくる担任は子供のような容姿のなみ先生。
案の定クラスメイトはオタクだらけ。
主人公はとまどいつつも学園生活を始めるのだった。
FrontWingがやけに力を入れて宣伝をしていた『私立アキハバラ学園（以下：アキ学）です。
…どうせなら『ゆきうた』ももっと宣伝してくれたら良かったのに。
OPの出来の差から考えて『私立アキハバラ学園』の方が『ゆきうた』より開発資金が豊潤だったに違いありません。
いきなりでぶしつけですが、この『アキ学』はストーリー自体は何の益体もありません。
見るべきところは導入〜中盤にかけてで、言い換えれば、個別シナリオに入ってからは見るべきところは少ないです。
個別シナリオに入ってからのアキ学は、実にありきたりで陳腐でチープな内容です。
『私立アキハバラ学園』のライターであるヤマグチノボル氏、桑島由一氏の両名が書くシリアス部分はデビュー作の『カナリア』のころからどうにもアレな傾向なんですよね…。
この両名のライターは人が死んだり、不治の病にかかるといった───主人公、ヒロインを初めとする登場人物が不幸のどん底で、もがき苦しむ不幸の極みのような話は、
その内容の重さもあってか面白いですが、友人同士の三角関係や、恋仲になった男と女の仲違いをメインにした程度の話だとどうにも面白味に欠けます。
しかも、アキ学には前者の不幸のどん底のような話は一切無く、全てが全て後者のパターンにあたるシナリオです。
ですが、アキ学ではその後半の本来のゲームならメインディッシュに当たるシリアス部分は二の次であり三の次です。
この『アキ学』に置いて見るべきところは導入〜中盤に当たる日常パート───つまりはギャグパートですね。
FrontWingの特色なのか、ライター自身の色なのかは判りかねますが、FrontWingのゲームは非常に脇役のキャラ立てが巧みです。
このアキ学でも、ヒロインを喰っているキャラが多数います。もちろん、ヒロインも十分にキャラ立ちしているのですが、この脇役の面々には勝てませんね。
ギャグが本当に面白いです。
ゲームをやっていいると「あ〜あるある」と言いたくなるようなオタの習性・習慣を完全に熟知した自虐ネタが大半で、笑いが止まりません。…心が痛むこともありますが。
キャラ別感想
冬馬琴未
主人公の妹でオタク。
自分を客観視することが出来る開き直り系のオタです。
プロローグから兄の部屋で兄貴のエロゲーを評論（実況?）しながらやっている素敵な妹。
しかも、そのエロゲーの内容も妹との性行為の最中ですし。…素晴らしすぎますね。
シナリオはアキ学で唯一見られる内容。
なかなか妹もののシナリオとしては大成しています。…逆転に次ぐ逆転ですし。
まあ、私は実妹の方が萌える可哀想な人なので私的には残念でしたが。
当方は病的なまでの妹属性ですので、当然に最萌キャラです。
村井麻里子
一般人らしい。
…てか、このゲームはオタクを題材にしている割にはオタクらしいオタクが、五人中二人しかいないぞ？
彼女のオタの特性を見抜いた突っ込みはなかなか笑わせてくれます。
しかし、彼氏のために自分をオタに変えようとする甲斐甲斐しいところもありますね。
…彼女自身のシナリオでは判明しませんが、実は主人公の従姉妹です。
シナリオは普通。痴話痴話なお話。あまり見るところはありません。
作中で一度だけですけど、彼女を「赤い髪」と呼ぶことがあるんですが、それってこの手のゲームでは禁句じゃないのでしょうか？メタギャグ？
神凪文
エロゲオタ。
エロゲオタな分はまだいいとしてもかなりの変態さんです。
エロゲのシチュプレイをやりたがりますし。
シナリオは…うーん…。
彼女のエロゲをやる動機がせいか、どうも俺とは合わないなぁ…。つーか、動機が解消されたらエロゲのプレイを辞めたらしいし。
色々とどうでも良くなるシナリオでした。
…彼女の声優であるまきいづみさんはいいですね。
作中に出てくる外国人のジャネットもまきいづみさんが声を当てていますが、外国人特有の舌っ足らず具合が絶妙です。
里中なみ
ロリ教師。その単語にデジャヴが…。
この手のタイプは、子供扱いを嫌がり、大人な対応をされると喜ぶ。でも、性格は至って子供であることが多いです。彼女ももちろんそれに漏れません。
シナリオは普通ですね。無難に普通。眠たくなるぐらい普通です。個別シナリオのさわりだけでオチまで読めるタイプのシナリオでした。
余談ですが、リアルな友人がなみ先生を見るたびに「ミントたん、ミントたん」とうるさかったです。誰だよ。
綾小路シンシア
守銭奴偽エルフ関西弁バージョン。色々と食い合わせの悪い属性をミックスした所為か食傷を起こしていますね。
私的にこのキャラはアキ学で一番のキ○ガイだと思います。
彼女のシナリオは悪い意味で凄かったです。どのシナリオでも一歩引いたところにいる主人公が彼女に感化されてしまったようでキチ○イな発言を連呼しますから。
シナリオばかりのレビューもとい、感想になってしまいましたが、シナリオだけはなく、他の部分も非常に力が入っています。
ＯＰのバカで電波ですが、非常に気合いの入った出来で大いに笑わせてくれましたし。特に声優陣の熱演が素晴らしい限りです。ネコミミやジョージ・ブッシュを初めとしたキャラクターは音声という魂が有ってこそ立っているキャラでしょうね。
音声有ってのアキ学といっても過言ではないです。
口パクが音声と同期していないことを無視すれば高レベルの出来でしょう。
back
index
|