斬魔大聖デモンベイン

NitroPlus


『―――汝、魔を断つ 剣となれ』

仕事もなく、その日暮らしを続ける三流探偵 『大十字九郎』。その生活力の無さに、友人であるしシスター『ライカ』からはいつも説教される体たらく。だがある日、そんな彼の元に一つの依頼が転がり込んだ。

「貴方にこそ相応しい仕事です。大十時九郎さん」
依頼主はこの街の実質的な支配者、覇道財閥総帥の覇道瑠璃。彼女が九郎にもちかけたのは、魔術絡みの依頼。過去のトラウマから魔術に関わることを躊躇する九郎だったが、提示された報酬は、そんな思いを吹き飛ばすほどに魅力的だった。
結局、依頼受けることにした九郎は、調査を開始。その過程で、彼は最悪の犯罪組織 『ブラックロッジ』に追われる少女アルと出会う。巻き込まれ、九郎は成り行きで、アルと共に追われる身となってしまう。迫る追っ手。立ち塞がる 『ブラックロッジ』の狂科学者ドクター・ウェストの破壊ロボ。逃亡の果て、二人は街の地下に眠る巨大ロボット 『デモンベイン』と出会う。九郎はデモンベインに乗り込み、破壊ロボと戦う決意をした。

デモンベイン。謎の少女アル。二つの出会いが三流探偵九郎の運命を変えてゆく―――。


端的に言えばクトゥルー神話をモチーフにしたロボットものです。 それに加え、ロボットものの王道をこれでもかと言わんばかりに踏んでいます。 技の名前は敵味方関係なしに叫ぶ、決め台詞がある、絶対的なピンチの中で逆転する、等々―――どこかで見たことがあるような「お約束」が散りばめられています。

このゲームの醍醐味はとにかく熱いです。燃えます。絶対的な絶望下で足掻き苦しみながら、勝ちを得るという展開にオタが燃えないはずはありません。

このゲームの主人公は他のエロゲーと違い我が強いので、主人公にもさも当然のようにボイスがあります。
テキストも三人称ですから、主人公にあまり感情移入は出来ず、デモンベインという世界を俯瞰して楽しむように作っています。そういう意味ではエロゲらしからぬエロゲです。 まぁ全15話のロボットアニメを観ているのとさほど変わりありませんね。

残念なのはそういう作りなのにパートボイスでフルボイスでは無いことです。その辺はPS2版に期待ってところですか。


シナリオも当たり前として、この作品はそれ以外の面でもかなりレベルが高いです。中でも音楽が素晴らしいですね。

個人的に好きなのは……。

『機神咆吼』
『神の摂理に挑む者達』

音楽はどれもこれも高水準なんですが、特に好きなのを挙げるとこの二つですね。 これが作中で本当に絶妙のタイミングで鳴るんですよ。聴くだけで気持ちが猛りますな。


ストーリーは最初から最後まで熱い。各ヒロインごと3つのルートがあるんですがどれも素晴らしいです。 そして、どのルートも気持ちいいまでに王道ですね。ただ共通パートが長いことがちょっと問題かも。

ストーリーは勧善懲悪のご都合主義ですが、善と悪と明確にキャラを分けられているのに登場人物にこれといって嫌いなキャラがいません。 ティベリウスさえそんなに嫌いじゃないです…いや、ホントに。

一番好きなルートはライカルートかなぁ。
とにかくリューガが格好良すぎます。己の狂気に殉じて最期までそれを貫き通した姿勢には感服いたします。 エセルドレーダを文字通りムシャムシャ食べているのは戦慄を覚えました。あそこまでの狂いっぷりは感動さえも覚えましたよ。

「あなたの優しさで俺を穢すな」

…最期の最期まで姉の優しさにも屈しずに自身の狂気と涅槃を共にしたリューガに乾杯。

一番スカッとしたのがアルルートでしょう。これぞキングオブ王道。清々しい面白さがあります。 悪だけどどこか憎めないマスターテリオンとエセルドレーダにも救済処置がされていますし。 ……エンディングは旧神ENDの方が好きですね。エンネアも出てきますし、何てったってポニーテイルのアルが見られますし。


好きなキャラクターはアル・アジフ。ロリキャラなのに男前で格好いいです。

特にこの台詞がお気に入り。

「汝の強さを取り戻せ! 汝の誇りを取り戻せ!
 汝はまだ闘えるはずだ。 汝の魂は絶望に染まりきっていないはずだ。
 今一度、剣を手に執り、立ち上がろう! あの邪悪を打ち滅ぼそう!
 それでも汝がまだ闘えぬというのなら……」


「──妾が汝を強くする」

…惚れますな。

前述しましたが、アル・アジフだけかかわらず、他のキャラクタも殆ど好きです。ヒロインに関しては、アルが頭4つ分ぐらい抜きん出てますけど。

そしてやはりデモンベインといったら男衆を忘れるわけにはいかないでしょう。

 主人公の大十字九郎はどんな絶望下でも決して絶望をせず、針の穴のような活路を開くヒーローですし。 ウィンフィールドは己の技術のみで魔導士と闘えて、しかも勝つというステッキーなお人ですし(真剣白歯取りには笑いましたが)。

やはり中でも一番好きなのは西博士ことドクター・ウェストでしょう。
数ある奇行──もとい活躍の中で特にアルルートのドクター・ウェストと九郎との共闘は素晴らしい。 普段はキチ○イに近い──いや、完璧キ○ガイなんですが、アル・ルートのドクター・ウェストの天才っぷりは肌を刺すように伝わります。 プレイした当時は(ああ、この人は本当に天才だったんだなぁ)と色んなで感心しました。

いやはや、登場人物に関しては非の打ち所がないです。


『斬魔大聖デモンベイン』は単純明快に深い意味もなく実直に面白いといる作品です。 すっきり気持ちよく遊べるゲームですね。多少の中だるみも感じますが、十分許容範囲でしょう。

……このゲームで一番驚いたのは九郎の陰嚢象皮病と言わんばかりのイチモツです。 あそこまで大きいと原画家の人がチンコに対して並々ならぬコンプレックスを持っているんじゃないのかと邪推してしまいますよ。


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