グリーングリーン3〜ハローグッバイ〜

GROOVER

▼はじめに(ちょっとしたレビュー)

Grooverの看板商品であるグリグリシリーズの完結編。 無印のグリーングリーンが発売されてから続く作品なので5年越しの大作です。 ゲーム以外にもTVアニメ、OVA、ドラマCD、小説と関連商品が山のようにあり、全部コンプリートするのは財政的に難しい作品です。

・シナリオ
ライターはメインにヤマグチノボル氏。最近はライトノベル作品でもよく名前を聞きますね。 ほかのライターにTeam N.G.X氏、美南風悠氏の計3名。ルート別のシナリオ担当はよくわかりませんでした。 私の当てにならない勘だと双葉、ちとせがヤマグチノボル、双子が美南風悠、Team N.G.Xが舞……かなぁ。正直まったく自信がありません。 一番ライターの特徴が出るエロシーンで、これでもかとスキップしてしまったので、もう何が何だか。

まぁ一応ですが、そう思った根拠は……

ヤマグチノボル(双葉、ちとせ):1での双葉ルートの担当がヤマグチノボルだったのでそう判断しました。ちとせは双葉ルートでの絡みが多いので、ちとせも担当なのかなぁ…と。
美南風悠(双子):グリグリ2からの引き継ぎのライターで、双子ルートは2のヒロインとの絡みが多かったから。プラス消去法。一番自信がない。
Team N.G.X(舞):初参加のライターなので、舞はグリグリ1,2とのキャラに唯一繋がりがないヒロインではないかと。それにほかのルートに比べて露骨に独立していましたし。

こんな感じ。適当です。

テキストは過去のシリーズと同様に難しい表現や比喩はほとんど使わずに読みやすさとテンポをトコトン重視しています。……個人的に双子シナリオではちょっとダレましたが。

・グラフィック
原画は片倉真二氏とくろたま商会氏の両名。メイン原画はくろたま商会が担当している模様。 ヒロインは全員くろたま商会が書いているんじゃないかな。片倉真二は男キャラ中心だと思います。塗りはアニメ調ですが、いつも通り問題ないレベル。

デッサン的に気になったのは、エッチシーンでちとせが仰向けに寝そべっているイベントCGがあるんですが、明らかに乳が重力に逆らっています。 シリコンでも入れているのでしょうか。

今作は立ち絵と背景にグリグリ2から使い回しが多くありますが、とくには気になりませんでした。

・音楽、音声
BGMはあんまり記憶に残っていなかったり。新規の曲より旧作からの使い回しBGMのほうが記憶に残っています。ギターを使用した格好いい系や明るい曲調が多いですね。 グリグリ3になって追加された曲は全体的に大人しめでした。前述した通り、BGMは過去のシリーズからの使い回しが多いので、曲数は相当あります。 ミュージックライブラリがないので、正確な数はわかりません。おそらく40曲前後あるでしょう。 好きな曲というか歌はOPの「ハローグッバイ」と双葉EDの「グリーングリーンGRADUATION VER」。ロック調でノリノリ。

……声優は男女共々、全く問題なし。一般作品でご活躍されている方々が中心です。


*ここからネタバレを含みます。要注意。

▼キャラクター別感想

朽木双葉

本作のメインヒロイン。
前々作のグリグリ1で、どうやら祐介は双葉ルートを進んだらしいです。 しかし、グリグリ2では祐介と双葉がなにやら険悪な雰囲気になっていたので、グリグリ3のスタート直後は双葉と2からの仲違いを解消するところから始まります。 作中では語られない空白の間にいろいろとあったようですが、どうやら祐介の過度なエロっぷりが険悪な関係となった最大の原因らしいです。

なので、グリグリ3は彼女アリな状態でゲームがスタートするというこの手の学園ものではかなり異色なストーリー。

作中での双葉はとにかくよく嫉妬する性格です。
ちとせを筆頭に嫉妬を繰り返すわけですが、「むー…」とかそんな可愛い嫉妬ではなく「だから〜〜なのよ!」といった生々しい嫉妬なので、 ほかのヒロインと会話した後で、かなり双葉に対してビクビクしてしまいます。粘着質に攻めてくるので、ちょっと堪えました。まぁそれだけ祐介は愛されているということですか。

ほかのルートに入ると、その嫉妬もピークに達します。もちろん二股をかけるわけにはいかないので、必然的に双葉と別れるわけなのですが、 どういうわけかちとせルート以外では「え?いつ別れたの?」と思わせるあっさりとした内容です。とくに双子なんかホントあっさり風味。というか、いつ別れたのか思い出せません。

彼女のシナリオは妊娠ルートしかないという凶悪さ。
最長のシナリオですが、「ケンカ→仲直り→ケンカ…」を繰り返すだけのシナリオだったような。 ですが、直面する問題のリアルな重さと、問題の解決方法があまりにも豪快だったため、一番面白かったシナリオですね。 でも、省みるに一部分一部分でみると好きなんですが、全体的にみるとそうでもそんな好きでもないような。 どうにもケンカばかりしている印象が強いです。まぁつまるところ双葉というキャラに萌えられなかったのが原因だったと思います。萌えられればその嫉妬に可愛げを見出せただろうに。

んで、肝心の妊娠シナリオなんですが、ほかのゲームだと鬱なシナリオに直行ものですけど、グリグリ3では現実的で堅実に事態を乗り越えます。 二人きりで問題を解決しようとせず、同じ学園の仲間たち、そして親が力になってくれます。祐介の母親がはきはきした剛胆な性格だったので、かなり救われましたね。 ほかのゲームだと問題を当事者だけで解決しようとするから泥沼化するんだよなぁ。祐介は周囲を取り巻く環境があまりにも恵まれすぎていますな。

・蛇足

あー…、あまり考えたくありませんが、双葉はいったい、いつ頃妊娠したのでしょうか。 ちと考察に入りますが、作中エッチをする選択肢を選ばなくても双葉は妊娠してしまいました。そもそも夏休みが終わった9月以降ではさすがに3月の出産は現実的に無理。 卒業式の日に出産ということは3月の半ば。出産妊娠期間は280±15日といわれています。その日数で計算すると5月か6月ごろになりますが、 そのころの祐介と双葉はサイトにある祐介の日記を見る限りではケンカしていますね。4月の上旬とヤっていますが、それだと今度は遅産過ぎです。

……うーん、なんだか本当に祐介の子供か怪しくなってきたぞ。
まぁ祐介の子なのかどうかわかりませんが、ゲーム開始時には既に妊娠したことには変わりありません。 ほかのルートでは双葉の妊娠のことは言及がまったくなかったし、卒業式に双葉が参加しているので、 どうやら双葉が祐介の知らぬ間に堕胎していたことになります。そう思うと、卒業式に校門からみんなで一歩を踏み出すイベントCGの双葉の笑顔が怖くて見られません。 あの笑顔の裏には一体どんな想いが隠されていんたのでしょうか。……うわわわわ。

ハッピーエンドしかないと思われたグリグリ3ですが、一気に鬱ゲーになりました。これは知らぬが仏という奴ですか。 私は1stプレイが双葉シナリオだったので、ちょっと陰鬱な気持ちでほかのルートをプレイしていました……。 これはなにか、中だしが当たり前になっている今日日のエロゲに対する皮肉なのか。

河瀬ちとせ

双葉がメインヒロインならちとせは裏のメインヒロインな感じ。
ゲームを始めた当初は、ちとせの天然が裏のあるものかそうでないのか判断が出来ませんでしたが、話を進めてホンモノの天然であると判明。 なんとなく打算的な行動をするキャラなのかと感じていました。祐介に対するおかしな行動は双葉に対する牽制みたいなものかと。 ……でも、雷が怖いから一緒に寝てほしいというのが、何の裏のない行動だったら、ちょっと別の意味でヤバいな。 ……暴走とはいえども、天神に2回も本気で殴られるヒロインなんてそうはいませんね。なのでホンモノの天然でしょう。 打算的な行動が取れるのならそんなミスはしないでしょうし。

みどりの前世ということもあって、キャラ的にはみどりと被っています。 さすがにみどりよりかは垢抜けていますけど。今作のヒロインのなかで一番好きです。 ……あまり「萌え〜」という感じではありませんが。

シナリオ的には双葉ルートの次に良かったです。
一番最後に攻略したルートだったし、共通ルートも多い作品なので、新鮮みがちょっと薄れちゃったかな。 双葉と順番が違えば一番好きなシナリオだったかも。双葉ルートが、鐘ノ音学園のフィナーレを飾るルートだとしたら、 ちとせルートはグリーングリーンという作品のフィナーレを飾るシナリオですね。 グリグリのもう一つの中核である、千歳みどりのその後と1000年後の未来の話も想像できる範囲で補完されましたし。 祐介に一度も出せなかった手紙を焼いているときに、グリグリ1で小みどりが被っていた帽子が出てきた時にはドキンとしましたぜ。

ちとせルートは未来以外の話も好みでした。
祐介とちとせが幼馴染みになる過程が描写が綿密に描かれていたのに好感。それ以外も、ちとせの祐介に対する感情や行動は全て説明されているんですよね。 祐介が好きになったのも、料理や裁縫が得意になったのも、鐘ノ音学園に追いかけてきたのも、祐介の前では自分のなかの女の子を出さないことも。 その全てに原因があり、それを丁寧に理解されていくのはよかった。……犬に噛まれる原因だけは未だに謎ですが。

その他

双葉ルートとちとせルートが、突飛してよく感じたのでほかのシナリオはあまり印象に残っていません。最初に双葉シナリオをやったのが問題だ。 双葉ルート自体の面白さもそうですが、それ以上に双葉妊娠の事実を知ってしまった後だから、なんだかお腹が痛くなりそうでしたよ。

双子のシナリオはヒロインよりも祐介が就職活動に悩んでいることに焦点が置かれており、あー…ウダウダ悩んでいるなぁとしか思えませんでした。 つーか、花月の心の声が聞こえるという設定とそのイベントは何か意味があったのかどうかすら怪しいですぜ。双子はキャラ自体も萌えられなかったので、正直辛かったです。

……双子関連は共通ルートのうちが一番面白かったかな。 天神の手紙なんて声優も相成って最高だったのに。双子の恋愛フラグが立ってから勢いが急速に落ちたような気がしてなりません。

美杉舞は話の起承転結がうまく纏まっていましたね。その分、展開が読みやすい内容でしたが、双子に比べれば満足です。 ただ舞の声はちょっとオバサンくさいかなぁと感じましたが。


▼雑感

二度と戻らない青春。お祭りの終わり。グリグリシリーズも今作で完結。しんみり。

このグリーングリーンを語る上で忘れちゃいけないのが3馬鹿ですが、今作でもイカシていました。 笑わせるところではトコトン笑わせてくれて、感動させるところではしみじみと感動させてくれました。……このギャグとシリアスの緩急が絶妙なんだよなぁ。

なかでも一番星の決断。学園祭のコンサートの成功からロックの道に進むため3年の2学期に学校を退学するという愚行ともとれる決断。 なんつーか、一番星格好良すぎ。優柔不断王・祐介なんて目じゃないです。

グリグリシリーズでは、ヒロイン達よりも男ども、とくに3馬鹿の方が印象に残りますが、やはり今作でもその伝統?は引き続いていました。 今作はギャグよりもシリアス方面に傾倒していましていましたが、見返りを求めないで行動できる友情や、夢に邁進する姿は感動させます。 卒業式の轟や、卒業生答辞もベタベタながら、心に染みるものがありました。貫徹なギャグキャラである春乃も双葉シナリオや卒業式でも締めていましたし(春乃は分類的に女だが)。

シリーズもののエロゲを商品価値があるまでぐだぐだ続けず、きっちりと楽しめるうちに完結させてくれてたGrooverには感謝。


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