こころナビ
今から、ちょっとだけ未来のお話。インターネットの世界は
IRIS(Imitated Rounder and Ideal System)という技術によって、
ちょっとだけ楽しくなっていました。
ラウンダーという…それぞれが作り出したキャラクターによって、
Webの中をゲーム感覚で巡回するのが流行っていたのです。
そんな中…進学校に通う《勇太郎》は、成績の事ばかり競い合う
ギスギスしたクラスメイトに嫌気が差していました。
友達を作ろうともせず、インターネットに夢中になる勇太郎は
いつの日か、友達の大切さを忘れていました…。
そんな勇太郎の元に、一通のメールが届きます。
「恋をしよう!」等と書かれた、いかにも怪しげな文面に添付ファイル。
すぐさま削除…するはずが、ひょんな事からファイルを
開いてしまって、さあ大変!
不思議なブラウザ『こころナビ』で、
勇太郎はどんな出逢いをするのでしょうか?
どんな風に、恋を感じるのでしょうか?
▼気になった点
このゲームの最大のデメリットはシステムのヘボさでしょう。
タイトル画面にロードが無いのはある種、画期的と言えるかもしれません。環境設定の少なさにも驚きです。
「画面モード」「文字表示速度」「音量設定」「名前設定」の4つだけ。
ログがゲームスタート時まで戻れるのは親切なのか手抜きか……どっちなんでしょうか?
メッセージスキップの遅さも壊滅的。…全作の『たいせつなうた』もこころナビ以上にシステム面が酷かったですが、スキップは『たいせつなうた』ここまで遅くなかったような。
因みに『たいせつなうた』はCTRLキーを押しっぱなし以外のスキップはありませんでしたが。
……標準でボイスがオフなゲームは初めてやりました。
―――しかし、ボイスは標準でオフなのは制作側の正しい判断だったと思います。自分にとってこのゲームのボイスははじめから無かったものになりました。
パートボイスなのはまだいいとして、ここまでへたくそな声優はいないでしょう。ちょっと目眩がするレベルでした。
立ち絵やイベントCGは概ね高水準ですが、背景に関してはホント酷いです。
特に教室の背景上の学生は色々とヤバイ。同じ人類か怪しいぐらいな適当さ。
こんな投げやりな仕事をする外注はほかにはいないと思います。……声優に関してもそうですが、開発資金の少なさが目に窺えますね。
今作『こころナビ』は一万本を超える売り上げを出したので、次回作はシステム、声優、背景をどうにかして欲しいです。
あ〜、ほかに気になったところとして挙がるのは、塗りのレベルが高いです。立ち絵のクオリティーはかなりのモノではないでしょうか。
それに原画家自身がグラフィッカーも兼ねているというだから驚き。
…一部サブキャラは時間がなかったのかちょっとアレでしたけど。
▼特に萌えた点(というか、妹)
このゲームの見所は実妹が攻略できる所でしょう(←断言口調)。
おそらく現行のソフ倫規定のギリギリのところまで兄妹間の恋愛を描いています。
それに加え、凛子というキャラの性格面も素晴らしい。初めから好感度マックスの妹にやや食傷気味だったので久しぶりに感動しました。
ホントに凛子というキャラは良くできているんです。
普段はクールで引き篭もりで身内以外の男は大嫌いで、それでも男にはモテる(少なくとも作中で二人には好かれていました)。
普段は兄に対しても弱みを見せずに不機嫌そうにからかうような調子ですが、可愛いところがとにかく多いです。
パソコンオタクで、そのパソコンをやり始めたのは主人公の影響。一人称が「ボク」なのも主人公の影響。……萌えですな。
シナリオでも兄妹同士の恋愛は禁忌という認知はしており、凛子の「親を泣かせてまでやる事じゃない」という台詞が現れていますね。
インセストという禁忌を禁忌として正しく認識してながら、最大限に隠す努力をして、インセストを無理に正当化しないのはほかではあまり類を見ないシナリオです。
現実世界での性行為そのものは行わずに、こころナビを使ったラウンダーを介して行為に興じるという徹底ぷりが面白い。
ヤらないのはだからではなく、少しでも親の目を欺くためという―――ソフ倫規定を逆手に取ったこころナビの使い方はこころナビ自体が凛子シナリオのためにあるのかと思うほどです。
ネットワークを介してのマスターベーションの見せ合いは(色んな意味で)ちょっと危険だと思いましたが。
一緒にお風呂に入るイベントも良かったですね。
テキストには書いてありませんが、イベントCG上で兄ちゃんの右手がヤバイ位置にあるのが笑えます。髪を下ろした凛子もメチャ可愛いですし。
さらには入浴後ににいちゃんが凛子をオカズに一人フィーバーしていますし。
主人公の交通事故後は兄妹として、恋人としての親愛や愛情や絆も一層に深まっただろうし、もうヤるのは時間の問題ですか(笑)
あー…、でも「肉親だと血も入れられない(GVHDのため)。でも、身体に入られるモノは、血ぐらいしかない」といったことを言っているので、そういったところは大丈夫なのかな。
少し残念ですが、プラトニックな愛でもあの二人ならそれもそれでいい思います。でも、オマケのCGではヤっちゃっているのはなんでだろう……?兄ちゃん暴走?
▼シナリオ総括
凛子だけに限らず、他のキャラもシナリオに飽きるようなところは無かったです。
物語は総じてまったりしていて緩急が少なく、鬱になるような展開は微塵もなかったですね。BADENDも不幸になるようなことはありませんでしたし。
ラウンダーは現実のキャラと対になっていて、専用ルートに入らないと誰がどのラウンダーの利用者なのかわかりません。まぁ一人クリアすれば誰が誰だかバレバレですが。
シナリオの短所として挙げられるのは、共通イベントが長く、個別シナリオが短いところ。
その為、主人公が相手を好きになる過程があまりにも曖昧すぎて彼の言う『好き』に説得力が感じられません。
それに説明不足や矛盾点は多少ありました。ルファナが現実世界に飛び出てこられたのは未だに謎です。こころナビの存在自体もアレですが。
…妹が出てくるゲームはまともに感想が書けません。
文章の半分が凛子というキャラとシナリオの萌えどころの説明になっていまいました。
それでもQ-Xさんの次回作もこの方面で期待しています。切実に。
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