Like Life

HOOK


私立・下総ノ宮学園(しもうさのみや)。
自由な校風、制度のもと、近年創立された学園である。
どちらかと言えば、閉鎖された空気の中で、
それでも、過ごしていくことになんら疑問もなく。
強いてあげれば、隣人のはちゃめちゃな幼馴染とか、
同居している難攻不落の叔母とか。
異変に気付いたのは、時期はずれな転校生たちが訪れてから。
いつものように携帯電話を探していた和真の前に
「携帯電話です」と名乗る少女が。
いったいどういうことなのか?
次々に起こる不可解な騒動。ずれているが、
それでも、そんな風に感じてしまう周囲に疑問を投げかけた。
或る少女が紡ぎ出す、不可解な現象を。
只一点、変わりようのない事実。
彼女達が起こす様々な事件は、和真にとって大事な一部。
生活はここから始まる。
毎日が楽しくて、毎日が不安定。
いつの間にか過ごしている――Like Life。


前作オレンジポケットから注目され、徐々に頭角を現してきたHOOKの作品。
モノが言葉通りに擬人化するという、一見すると可愛げがありそうな設定ですが、よくよく考えてみると狂気の色が見え隠れしている設定です。 考えてみてください。突然、携帯電話が女の子に!突然、冷蔵庫が女の子に!郵便ポストが女の子に!校門が女の子に!…etcetc。 と、まぁ多少の常識を持ち出せば恐ろしいことこの上ない。 しかしこの町の住人は疑問を持つどころか、さして原因などを考えず「あっそ…」と言わんばかりに人と化した彼女らと特に問題なく接しています。 凄まじき順応能力ですね。疑問を持っているコッチの頭がおかしくなったんじゃないのかと錯覚してしまいます。

『LikeLife』のテキストは非常に独特で、地の文が全くと言っていいほどありません。 つまりは主人公の心理描写や状況説明を全て省いています。特殊な状況(エロシーンなど)ではない限り、会話と立ち絵と音と背景のみの構成です。 そのおかげでストーリーの進行はテンポよく進行いますが、状況説明が殆どないのでノリと感性を鋭敏にして受け止めなければ話についていけません。 たまに「あ?いきなり何言っているんだ?こいつ」とツッコミたくなる事態に幾度か邂逅しますが、その辺は寛大な精神で受け止めてください。

……因みにゲーム開始から1時間ほど経ってやっと一行だけ地の文が出てきました。


キャラ別感想

宮里結未

 キャラクター

主人公の幼馴染み。凄まじいテンションで主人公好き好きオーラを常に発している。実際に口でも発している。 そのラブ発言はとても冗談とは思えない言い方なのですが、主人公は実に心得たモノで冷静に対処しています。
……声が非常に良いです。脱力系で聞いているだけで脳みそが緩くなります。 耳に残るようなネトネトした声質なので好き嫌いが別れそうなところ。私は大好きですね。演技力に関しては素晴らしいと思います。

結未は天然系のキャラクターという扱いですが(キャラクター説明にもそう書いてありますが)、実は天然ではなく腹黒ではないのかと踏んでいます。 あの他者を脱力させんばかりの天然が計算だったと考えるだけで勃起しそうです。
……彼女は基本的に主人公のことしか見ていないんですよね。 それで他人までに気を回す余裕がなくて結未に惚れている一撃のことを特に意に介せずにテキトーにあしらってしまうのでしょう。 まぁ私の中では全て判った上での奸計ということになっていますが…。

 シナリオ

馬鹿二人が馬鹿やってこれからも馬鹿をやろうという至ってほのぼのとしたもの。 それでいて且つエロイ。 補習中にエロに走ったときには口が半開きになりました。盛り過ぎですよ、こいつら。 ノーマルエンドの締めに胡蝶の夢を使うなんて意味あり気でいやーんな感じです。 そういえば、メインヒロインなのにシナリオに起伏が一番ありませんでしたね…。  

高坂姫子

 キャラクター

主人公の携帯電話。何の因果か人になる。 持って歩くことが出来ない携帯電話なので主人公の後ろをちょこちょこと付いて歩いています。 もちろんヒロイン攻略型のエロゲーなので以外のヒロイン攻略時には高確率で放っておかれる可哀想な存在。 携帯としてのアイデンティティ(?)を否定されているようものなのでちょっと憐れ。
も声が良い。着うたと称して着メロのメロディーの歌を歌っている姿は和みます。 ……電話に出るときには乳を押さなきゃなりませんが。まぁそんなことよりも、敬礼の立ち絵がプリチー。

 シナリオ

展開は良くある展開ですが、その良くある展開だからこそ、真摯に心を打ちました。こういった結末はわかりやすければわかりやすいほど染みてるみのです。自己完結がしやすいですから。 ……それにだけエンディングの演出が贔屓されていますね。結未のシナリオがあんなんだったのを考えると実はがメインヒロインなのか?!  

沢木椿

 キャラクター

吐血ッ娘。面白い属性です。錬金術兄弟の師匠市街征服を狙っている悪の秘密組織の一員を思い出します。 ……てか、結局の彼女の吐血は一体なんだったんでしょう?ゲームをクリアした今でも謎です。 主にギャグシーンでしか使われていないので彼女の持ち芸なのでしょうが。水芸みたいなもの?ヘモグロビンが含有しているため、紅いですけど。
椿自身のシナリオでもそうですが、どのシナリオでも面倒見が良いです。 特に姫に対して同じモノとしての立場なのか、よく動いてくれます。 このゲームで一番に優れた人間性を持っていますね(人じゃないのに)。 他が自分のことしか考えていない連中ばかりだったので、特に眩しく映っただけなのかもしれませんが。

 シナリオ

私は椿ENDよりも彼女の本懐が全うされた沢木ENDの方が綺麗に纏まって美しいと思います……。
てか、もう一つの結末がアレですよ?どういった展開になればあの状態から3Pに走れるんですか?プレイ中に目眩がしました。  

有川あとり

 キャラクター

麦チョコ好きが殆ど生かされていません。もっと麦チョコに狂信的な耽溺を見せれば萌えられたのに…。 そりゃあもう「ム、ムギィィィ…あばばば…チョコ、チョコ、ムギ‥チョコ、た、食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい…ぐげえげえーーーッ!!」 といった風にこの世のどんな薬物でもこんな中毒症状にはならないだろう、それほどの勢いで麦チョコに対して狂愛を見せれば萌えたね!ごめん、嘘。真面目に書きます。
猜疑心の塊じゃないかと思えるほどの人間不信を見せる彼女ですが……ごほん、テイク3…見知りで何事に対しても自信がないのか後ろ向きで自分を前に出さない彼女ですが、 行動を起こすことに対して観念しているわけではなく、始めの一歩が上手く踏み出せないだけです。もっと自分に自信を持って前を見て歩きましょう。ワタシノウラナイゼッタイネ。

 シナリオ

『Like Life』というゲームの根幹に拘わってくるストーリーです。ですが、別に大したことはありません。ありがちです。 寂しさを紛らわせるためにモノと対話を繰り返していたら、物に宿る神―――九十九神を具現化する能力を持っていることが判明しましたさ。以上『Like Life』の根幹でした。  

竜胆寺絆

 キャラクター

ボンボン。金持ち特有の嫌らしさが全身から滲み出ています。 普通この手のキャラはそういった金持ちであることを鼻にかけないことが多いのですが、彼女は見事に鼻にかけています。 「金で買えない物はなくてよ?」「大衆は豚よ?」「下賤のものはワタシに近づくことさえ許されないわ」…実際にこんな語録はありませんが、ゲーム当初は明らかに他人を見下し、侮蔑しています。 …どんな教育をすればこんなひねた価値観を持つようになるんでしょう?

 シナリオ

彼女の歪んだ人格を正すシナリオです。以上。  


 このゲームの楽しみ方

まずは頭を空っぽにしましょう。難しいことを考えずに、右脳で感じてください。テンションは高ければ高いほど良いです。 お酒を飲んで酩酊感に囚われるのも良いかもしれません。それがこのゲームを楽しむための秘訣です。


back

index