おまえのなつやすみ

FlyingShine


「夏休み、ハワイに行くから」

両親の言葉を聞き、友人たち、近所の人、親戚……
あらゆる人々に

「夏休みは家族でハワイ旅行に行くのさ」

などと自慢げに言いふらしてしまった少年。
しかし身勝手な両親は、実は自分たちだけで旅行に行く
計画を立てていただけのことだった。

夏の盛り、家に取り残された少年と、その妹。

水泳部員の妹もまた、部活を休む代わりにハワイでしっかりと
焼いてきて、夏休み明けの「校内日焼けコンテスト」で
見事優勝して見せる、と大見得を切ってしまっていた。
友人、知人に、近所にいる姿を見られるわけにはいかない。

かくして、世を忍ぶひきこもり生活が始まった。

やがてそれはエスカレートしていき、

様子を見に来た従姉を

巻き込むあたりから、少年少女たちの暴走が始まる……。


 今まで書いた18禁ゲームの感想は…

「俺はエロゲーはエロゲーでもエロを重視したものではなく、ストーリー性を重視した高尚なタイプもモノしかやらないのさ。 ふふん」(エロゲーに高尚もクソもあるか、という疑問はさておき)

 …と言わんばかりのものでしたが、今回書く『おまえのなつやすみ』はまごうことなくエロゲーであり、至極真っ当なのバカゲーです。そもそも上のストーリー紹介ですら、バカゲー臭がプンプンします。

 ハワイに行くと周囲の人たちに自慢をしたが、実は勘違いで主人公兄妹は行けないことが判明。もし本当は行けないことが、自慢した人たちにばれたら恥をかくことは確実。そのことを防ぐため、家から一歩も出ずに兄妹で引き篭もるという素晴らしきストーリー。ホント馬鹿です。
 引き篭もり中も、家の中で行けない悔しさからか擬似ハワイ生活を過ごし、家から一歩も出られないため食料はそうめんのみ、家に人が居ることを隠すため夏だというのに家中の窓とカーテンを全部閉めます(オマケに劇中でクーラーが壊れる)。この徹底した馬鹿らしさがなかなか面白い。

 タイトルの『おまえのなつやすみ』というのもよくよく考えてみれば凄いですね。
…ひょっとしてひょっとしなくても、思いっきりPS2の『ぼくのなつやすみ』から捩っていますな。
しかも『おまえのなつやすみ』のタイトルフォントは『なるたる』と同じものですし…。

 …嗚呼、素晴らしきかな『おまえのなつやすみ』。 …嗚呼、素晴らしきかな『FlyingShine黒』。


キャラ別感想

火野あつし

 本編の主人公。
デビルマンの不動明にそっくり。ここまで似ているともはやチャレンジャーとしか言えません。
エロに力が入っているゲームですけど、エロCGの中に彼の不動明フェイスがしっかりと描かれているものあるのでかなり萎えます。
他のどの18禁ゲームにも言えることですが、エロシーンの時は男の顔は描かないで貰いたい。

 顔は明らかに不動明ですけど、その性格は理屈馬鹿の見栄っ張りです。本人も自覚しているのでまだ救いようがありますが…。善人ではありませんが、悪人でもありません。ただの理屈馬鹿です。
なのでエロに置いても鬼畜には走らないので純情和姦大好きっこも大丈夫……ごめん、それは言い過ぎた。

火野ころな

 主人公の義妹で巨乳担当。
勝ち気でまっすぐな性格。主人公の口車に乗せられる少し頭の弱い娘。
ゲーム序盤は跳ねっ返りなところもありますが、ゲームが進むにつれて主人公の奸計に嵌ったのか、閉鎖的な空間で頭が弱くなったのか、エロで頭が茹だったのか知りませんが、素直な妹キャラになります。

火野ほむら

 主人公の従姉で貧乳担当。
模試の帰りに火野宅に寄ったのが運の尽き、そのまま火野兄妹に引きずり込まれ、蠱惑な世界にレッツダイブ。
性格はおっとりしていて、少し天然。頭は良いらしい。
適応能力が非常に高く、すぐさま火野宅の官能ワールドにどっぷりのめり込む。

 「気持ちよければいい。楽しければいい」といったような享楽主義的なところもある。


 定価で3,980円といったロープライスな作品ではありますが、なかなか良くできています。
エロはもちろんのこと、ギャグを始めとした日常会話も面白いです。怪談話も聴けますし。ゲームの舞台が家の中だけという非常に小さく纏まった世界ですけど、サクサク物語が進行するせいかあまり気になりません。
 少なくとも値段の分は十分堪能できる作品だと思います。


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