そらうた

FrontWing


舞台は瀬戸内を一望できる田舎町。
道隆は学園の二年生。
道隆は姉である霊子と幼馴染の知夏(ちか)と夏休みを過ごしていた。
知夏に夏休みのほぼ毎日を引きずりまわされながら過ごす道隆。
しかし、幼いころから幽霊を見て育ち、幾人もの幽霊の成仏を目の当たりにしてきたため、
道隆は心が激しく震えることがなくなっていた。
普段は意識していなかったが、肉親である祖母が突然死亡し、
葬式へ行っても何も感じなかった。
その事がたまらなく悔しくて、悲しくて涙する道隆。
そんな道隆を見て、膝枕をしながら優しく諭す霊子。
『冷たい人は、自分が冷たいからって泣いたりしないよ』
霊子の優しさに包まれながら道隆は眠りに落ちていった。

翌日目を覚ますと、突然霊子が居なくなっていた。
手紙を一つ残して…………。


『ゆきうた』が今作の前身に当たるゲームだと思いますが、内容自体は全く関係ありません。 一部シナリオライターと原画家が同じということだけだと思います。 内容の関連性はともかく、個人的には『ゆきうた』と同じ鬱路線を期待したんですが、今作の鬱度はそれほど高くありませんでした。シナリオによってですが、感動系に属すタイプだと思います。

ですが、ただの感動系のエロゲーと違い、『そらうた』だけの面白い特色があります。それは推理小説でありきのトリック要素があることですね。 トリックと言っても幽霊だー反魂だーというオカルトチックな内容ですが、それでもしっかりと推理することが出来る作りになっています。逆転裁判でもオカルトな事件が幾つもありましたので似たようなモノです。たぶん。 で、そのトリックをシナリオで語られる前にそれを頭のなかで解いてしまうのが面白かったです。まぁ本編中にバリバリ伏線が張られているので、推理するまでのものでもないですが。
そして、攻略キャラ全てのシナリオが最終的に霊子シナリオという一本の線に繋がり、物語を集約させています。 シナリオライターが複数いるのに、しっかりと全てが繋がるように伏線が貼られているのが、整合性はともかく凄いところです。 もちろん、霊子シナリオという解決編で推理小説のように事件の黒幕がぺらぺ〜らと事細かに事件の経緯を説明してくれるのでばっちりです(何がだ)。

このゲームの主人公が、シナリオによって態度も性格も一人称も違うような危ない人なんですが、解決編(霊子シナリオ)でそのことの説明もしてくれたのが意外でした。
そういうのもこの『そらうた』の主人公、非常にいけ好かないヤツです。 普段は面白味もなくギャグ一つの発しないような没個性男ですが、何の前触れも無しにキレたり、責任転嫁したり、自分に出来ないことを相手に押しつけたりとサイテーなことをします。 それでエッチになると「ええんか?ええんか?」と相手を言葉責めでなじるような変態親父と化します。ホントこいつ童貞か?

というか、このゲームのエロシーンは特殊です。ヒロインも主人公もよく喋ります。主人公の言葉責めの要求に応えてかヒロインも卑語を喚きまくりです。
「ニーソックスも、靴の中も、わたしの中のいやらしいお汁で、グチョグチョになっているの……!」
こんな感じで、ヒロインもヤりながら実況をしてくれます。親切丁寧です。地の文必要なしです。
それでいて、感じまくりのイきまくり。どのヒロインも「気持ちいい…!」を連呼しまくり。お前ら本当にさっきまで処女だったのかと言いたくなるほどのよがりっぷり。

ヒロインが痛がっているを見るのを嗜好とするS処女スキーには優しくないゲームなのかもしれません。


キャラ別感想

小西霊子

 キャラクター

本作のメインヒロインのはず。というか、その不吉な名前はなんだ。
眼鏡で巨乳で義姉。なかなかポイントが高い属性を持っていますが、如何せん私がアンチ眼鏡。 近親スキーな私でも眼鏡のマイナスが近親のプラスを相殺 どころかマイナス幅に大きく持っていくのでどーにもこーにも萌えられません。 けっ…恨むならそのデカ縁眼鏡を恨むんだな。

 シナリオ

『そらうた』の解決編。たまねえとの恋愛譚はそっちのけで(目をそらして)、事件の究明を追っていました。 今までの伏線が全て消化されていくのは面白かった。それとは別にみーくんとたまねえがあんあん乳繰り合っていましたが、そんなのには興味ナッシング。 そんなことより、このシナリオでの知夏が本人のシナリオよりネジがぶっ飛んでいい感じでした。そっちのほうが100倍萌えたわ!はっ!

佐倉知夏

 キャラクター

ぶっ飛び幼馴染みキャラ。本作で一番のお気に入り。
台詞の8割にギャグが入っています。自分のシナリオとプロローグ以外に真面目なことは言っていなかったんじゃないんでしょうか? 個人的には霊子シナリオでのぶっ飛び具合が一番好み。

打倒菜乃(『ゆきうた』のヒロイン)を掲げていたようですが(想像)、流石の知夏も菜乃には及びませんでした。ぶっ飛び具合も萌え具合も。

 シナリオ

このシナリオでの主人公のゲスっぷりは酷いもんです。そのことがなによりも印象に残っていますね。
その他は大して記憶に残るようなところもなかったです。知夏本人もそれほどぶっ飛んではいませんでしたし。強いて挙げるなら、ヤりまくっていたなぁ…と。 それで行為後にいきなりスタッフロールが入って驚きました。「え!ここで終わりかよ!」と思わずディスプレイにツッコミ。

永澄真奈

 キャラクター

幽霊ッコ。んー、性格自体は飄々としています。
事件の巻き込まれ具合がひでえ。自分とは何の関係もないことで、何の恨みも無しに殺されるほど酷い死に方はないと思います。 正確には殺されたワケではないんですけど。
エロシーンの声がおばさん臭くて萎えました。うん。

 シナリオ

ゲームを始めて一番初めにクリアしたシナリオです。
あー、あの絵本ってやっぱりアレでしょ?アレ。思うに初めはオコジョではなかったのに、 あまりにも似すぎてしまったため、仕方なしにオマージュという形をとって動物をオコジョにしたという感じを受けたんですが、邪推ですかね?

夕凪澪

 キャラクター

地味。
まぁそれでも内なる狂気を感じるキャラ。親友が自殺ではなく、殺された方がマシみたいな言い方にはちょい引き。 殺されたんなら殺される動機があるわけで、そんな動機が持たれたるほうがヤバイと思うんですが、そこんところはどうなんですか。 …結局は殺された動機は直接本人に関係のないことでしたけど。

 シナリオ

あー、真奈シナリオの二番煎じ。演出的にも真奈のほうが優れていたので、どーにもこーにも感想を書きづらいです。 『そらうた』全体から見ても真奈のシナリオで十分事足りているので、まぁ攻略するためだけのキャラですかね?

瀬戸内葵

 キャラクター

不思議系。蟻を棒で突いているときはどうしてくれようかと思った。
みーくんとラブラブしているときよりも、友達だったときのほうが萌えました。 そっちのほうが面白い台詞を吐いてくれましたし。というか、表だった奇怪な言動は序盤だけでしたね。

 シナリオ

下記の日記で熱く語っています。間違った方向に。


以下日記より抜粋

Sat. 04.8.28

現在の進行状況は体験版の範囲を再プレイして、幽霊っコの真奈狙いでプレイ中。いつものFrontWingの作品と違い、移動マップ選択のシステムでは無いんですね。ちょっと驚き。 複数のライターがいるゲームでは、移動マップ選択はラクだと思うのに。確か今作は4人もライターがいたはずですなので、相当頑張っているのではないでしょうか? 個人的には選択肢のみでゲームを進める方が好きなので、なかなかに好ましいです。

まだ専用シナリオも入っていない序盤なので、ガンガンに進めていきたいと思います。


Sun. 04.8.29

真奈クリア。
思っていたほど、鬱度は高くなかったです。がっくし。どちらかというとお涙頂戴の感動路線。エロゲーではありふれたシナリオ。 私はその手の涙腺は枯渇しているので心揺れるモノはありませんでした。食傷気味でゲップがでます。
で、肝心のストーリーストーリーですが、ぶっちゃけますと君望のパロディーです。おそらくライターも故意に狙ってやっています。 まぁ君望と言ってもドロドロした人間関係のパロではないのでご安心を。
この真奈シナリオのエピローグで他シナリオの重大なネタバレがあった気がするんですが、これは大丈夫なんでしょうか?大丈夫だと信じたい。

今は真奈の親友以上の関係である澪を攻略中。真奈と澪はルート分けの選択肢が露骨なので簡単に専用ルートに入れました。 こちらのシナリオも予想できないではないですが、そういう邪推は抜きにして頭を空っぽな状態でプレイしたいと思います。ぼへー。


Mon. 04.8.30

澪、葵クリア。
この二人も鬱度はほぼ無かったです。ちくしょう。これまた感動路線ですよ。辟易します。
澪シナリオは言っちゃ悪いですが、つまらなかったです。真奈シナリオをなぞったシナリオなので結末も分かり切っており、別段興味を惹かれるものではありませんでした。 それに設定上、真奈シナリオのほうが面白いです。

葵シナリオですが、ギャグのつもりだかなんだか知りませんが、 本来の持ち主に返してこれからの人生を謳歌してもらう肉体に中だしとはどういうことですか? ギャグ?ねえギャグなの?ユーザー全員が突っ込んだと思います。初めの一回は仕方がないとして後の二回はどういうつもりなんですかね? エロスで思考力の低下ですか?頭が猿になっていますか?
最後の一回は「瀬戸口」葵本人が了承した上での行為でしたが、おそらく 二回目に至っては本来の持ち主は知りもしなかった事実ではないでしょうか?…こいつら本当に返す気があったのか?
あのエピローグで「瀬戸口」葵本人の記憶は反魂の影響で幽霊時の記憶はないので、 本人にしてみればいつの間にか処女を失っていて、もしかしたらいつの間にか妊娠していた可能性があるということです。 正直に言ってレイプより酷いです。

現在は知夏シナリオ。
主人公のゲスっぷりに疲れています。他のシナリオでも周りが見えていない痛い男でしたが、知夏シナリオではそれが顕著です。『ゆきうた』の主人公を見習えってんだ。


総括

無個性な主人公に面白味を感じなかった所為かゲームを進行する気力が途中で萎えたりもしましたが、知夏のハジケっぷりに何度も救われました。サンキューです。
シナリオをトータルで考えると魂を揺さぶられるような感動はありませんでしたが、シナリオ自体は十分に面白かったですね。 どちらかというとエロゲをやっているというより、サスペンス風味の推理小説を読んでいるような感じでした。
エロに関しても気合い入っていたと思います。キャラによっては4回もあるので、なかなか学園モノの恋愛ゲーとしてはエロエロなほうでしょう。…ただ見せ方は大いに問題が合った気がしましたが。
CGのクオリティーも高水準でしたし、ボーカル曲は一曲だけですが、音楽もゲーム中にうるさく感じないレベルでしたのでそれらについては文句の付けようもないです。

今後、『〜うた』はシリーズ化するんでしょうかね?もしそうなら次回作は鬱路線でお願いしマス。


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