終ノ空
突然のクラスメートの死。
それは、世界の終わりをくい止めるための儀式だったという。
世界の終わり?
そんな事が、ありうるのだろうか?
しかし、本当であるか否かなど、そんな事は関係ない・・・。
学校という閉ざされた<場>の中で、その予言は<真>なるものとして受けいられていく。
そんな中、一人の少年が、世界の終わりを宣言する。それは、<始まり>でも<終わり>でもない世界の到来の兆しだと彼は言う。
それこそは『終ノ空』(ツイノソラ)。
狂気に飲み込まれる、学園、あたかも、聖書の記述にある、悪霊に憑かれた豚の群が湖に飛び込んで溺死する話のように、自ら破滅に向かっていく。
しかし、それは本当に破滅なのか?それとも・・・。
世界の終わりは、世界の非連続性に。狂気は、人間の認識の可能性に、徐々に事件は、その意味を変えていく。
水上行人、若槻琴美、高島ざくろ、間宮卓司、それぞれ違った認識から『終ノ空』に関わっていく、はたして、『終ノ空』とはなんなのか?人々の不安が生み出した妄想なのか、それとも・・・。
ケロQの処女作『終ノ空』。
可愛い見た目に騙されちゃいけないゲームの典型です。パッケージの見た目とは裏腹にこれでもかと言わんばかりの電波な内容でした。
システムはMacromediaの悪名高いディレクタで作られています。ですので、システム的には最悪。元々ディレクタはADVゲームを作れるようなソフトでは無いはずです。
同じディレクタで作られたゲームにNitro+の『Phantom of Inferno』がありますが、あれはディレクタで作られたゲームとしては珠玉の出来でしょう。
……とまあ、『終ノ空』はシステム面に関しては最悪のゲームです。それに比例しているのか、ゲームの内容自体もかなりヤバイものになっています。
ストーリーは短い上にワケがわかりません。理解するのは困難を極めます。
『自分の妄想上の魔法少女に諭されカルト集団を作る内向的な少年』
『ある決められた時間に自殺をして、前世の戦士だった時の力を取り戻す儀式(スパイラルマタイ)』
『エロヒムロ星人であった前世の記憶を思い出す(アタマリバース)』
などなど。
どこを切っても子供には見せられない内容です。……ですが、私的には大好なゲームの一つだったりします。
キャラ別感想
水上行人
『終ノ空』の主人公です。
『終ノ空』のことの顛末を知ることになる人。『終ノ空』の全てを見るためにいるようなキャラで行人がいてもいなくても物語にはそれほど影響はありません。
これといって何もやっていませんし。
若槻琴美
メインヒロインの一人。
メインヒロインですが、行人以上に『終ノ空』という物語にはこれといって必要がないキャラです。……端的に言ってしまえばエロ要因。
このゲームの二人目の視点で、行人をクリア後に体験できる物語です。
まあ、行人の見た世界(シナリオ)を琴美が上からなぞっているだけなのでエロ以外に付加要素はありません。
エロゲとしての『終ノ空』には必要不可欠なキャラですが、物語としての『終ノ空』には本当に必要がありません。駄目だこりゃ。
高島ざくろ
このゲームの第三視点。
行人が体験する世界の少し前の物語です。彼女が全ての起源でしょう。
彼女が世迷い言をぶつくさ言いながら自殺をしたことにより世界が綻び始めます。
この彼女のストーリーから電波度が上がってきます。スパイラルマタイのアタマリバースです。
間宮卓司
第四の視点。このゲームの最終視点です。
『終ノ空』に於いての真骨頂は彼のシナリオでしょう。病気なまでにイってます。
彼から見える世界にはシュールレアリズムのような魑魅魍魎が所狭しと跋扈しています。これはホントにキてますね。
自殺をした高島ざくろに意味ありげなことを言わたのが、彼の―――間宮卓司の電波の世界への始まりでした。
その後、彼の心のよりどころにしている脳内世界の住の魔法少女リルルちゃんが顕界してさあ大変!
「あなたが世界を救うのよ」と脳内住人ことリルルちゃんに諭され、言われるがままにカルト教を作り、学校の教員・生徒を200人ほど洗脳。
そうして彼の終ノ空へと至るための遁走が始まり始まり。
―――それからなんだかんだありまして、仕舞いには校舎の屋上から集団ダイビング。それも100人単位で校舎の屋上からアイキャンフライ、ゴートゥーザ終ノ空。
えー、言ってしまえば馬鹿です。間宮卓司も相当なものですが、洗脳される教員も生徒も超弩級のアホ共です。ちなみに魔法少女リルルちゃんはふたなりです。
ちなみにここからケロQのふたなり神話が始まります。終わってしまえ。
好きなキャラは「音無彩名」ですね。
不思議系です。公式ページの紹介も…
すべてを知り、そして、すべてを知らない。一であり、全である。少女。
全然意味がわかりません。
ですが、彼女のこの台詞に惚れました。
「愛・・・それは最高の鎮痛剤。
生きている痛みの中で、その痛みをほんの少し忘れさせてくれる。
それが一瞬であっても、それを忘れさせてくれる。」
この台詞はプレイして大分経った今でも印象に残っています。
余談ですが、名前の由来はEVAの綾波レイに似ているから「彩名」という名前を付けたとか。
このゲームはところどころが妙に哲学的で、それが衒学的でかなり鼻につきますが、それに馴れることができれば面白さが見いだせます。
そしてこの狂ったノリに心が耐えることが出来れば、心に残りうるゲームになると思います。
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